退職手続きチェックリスト|会社側がやるべきこと一覧【2026年版】

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退職手続きチェックリスト|会社側がやるべきこと一覧【2026年版】

従業員の退職が決まったとき、会社側が対応すべき手続きは多岐にわたります。届出の期限が「退職後5日以内」「10日以内」と短いものもあり、漏れがあると届出遅延やトラブルにつながります。この記事では、退職の申し出から退職後の届出までを時系列で整理し、チェックリスト形式でまとめました。

この記事で分かること:

  • 退職日までに会社が対応すべき手続きの全体像
  • 社会保険・雇用保険の届出先と提出期限
  • 退職者に渡す書類の一覧
  • 手続き漏れを防ぐためのチェックリスト

退職手続きの全体スケジュール

退職の申し出から退職後の届出まで、大まかなタイムラインは以下のとおりです。

時期 対応事項
退職日の1〜2ヶ月前 退職の申し出・退職届の受理
退職日の2週間〜1ヶ月前 有給残日数の確認、引き継ぎスケジュール策定
退職日まで 業務の引き継ぎ、貸与品の回収、社内アカウント停止準備
退職日当日 健康保険証の回収、最終的な貸与品チェック
退職後5日以内 社会保険(健康保険・厚生年金)資格喪失届の提出
退職後10日以内 雇用保険資格喪失届・離職証明書の提出
退職後〜1ヶ月以内 住民税の異動届出書、源泉徴収票の交付、離職票の送付

なお、「最終出勤日」と「退職日」が異なる場合(有給消化期間がある場合など)は、届出の期限はすべて退職日が基準になります。最終出勤日ではありませんのでご注意ください。

退職日までにやること

退職届・退職願の受理

口頭のみの退職申し出は、後から「言った・言わない」のトラブルにつながる可能性があります。退職届(または退職願)を書面で提出してもらい、受理日を記録しておきましょう。

退職届の法定保管期間は特に定められていませんが、退職に関するトラブルに備えて3年程度は保管しておくことをおすすめします。雇用契約書を電子化している場合は、退職届も電子で管理すると保管が楽になります。電子契約の導入については「電子契約ツール5選|中小企業向け機能・料金比較」を参考にしてください。

有給休暇の残日数確認

退職が決まったら、早い段階で退職者の有給休暇の残日数を確認します。退職日までに有給を消化するのか、残日数がどれくらいあるかによって、引き継ぎに使える日数が変わります。

有給休暇は原則として退職日までに消化するもので、会社が有給取得を拒否することはできません。残日数が多い場合は、引き継ぎ期間を確保するために退職日自体を調整する相談が必要になることもあります。

有給の付与日数の仕組みについては「有給休暇の付与日数とは?中小企業向けにわかりやすく解説」、残日数の計算には「有給休暇 残日数カウンター」をご活用ください。

なお、有給の買い取り(未消化分を金銭で補償する)は法律上の義務ではなく、就業規則に定めがある場合のみ対応可能です。

業務の引き継ぎ

退職者には、担当業務の引き継ぎ書(マニュアル)の作成を依頼しましょう。以下の項目を盛り込むとスムーズです。

  • 担当業務の一覧と対応手順
  • 定期的な業務のスケジュール(日次・週次・月次)
  • 関連するファイル・データの保存場所
  • 取引先・顧客の担当者リストと連絡先
  • 進行中の案件の状況

後任者が決まっている場合は、退職日までの間に後任者と退職者が並走する期間を設けると引き継ぎが確実になります。また、顧客・取引先への挨拶や担当変更の連絡も退職日前に済ませておきましょう。

貸与品の回収リスト

退職日までに、会社が貸与しているものを回収します。回収漏れを防ぐため、事前にリストを作成して退職者に共有しておくと良いでしょう。

  • 社員証・IDカード
  • 社用PC・スマートフォン・タブレット
  • 制服・作業着
  • 鍵・セキュリティカード
  • 名刺(未使用分)
  • その他の貸与物品(社用車のキー、書籍、備品など)

健康保険証は退職日当日まで有効なため、退職日以降に回収する形でも構いません。ただし、資格喪失届の提出に必要なため、速やかに返却してもらうよう伝えておきましょう。

社内システム・アカウントの処理

退職日以降に社内システムにアクセスできない状態にする準備をします。

  • メールアカウントの引き継ぎまたは停止(退職後に届くメールの転送設定が必要な場合もあります)
  • 社内システム(グループウェア、チャットツール、ファイル共有など)のアクセス権限停止
  • VPNアカウントの無効化
  • 業務用クラウドサービス(Slack、Google Workspace、Microsoft 365など)のライセンス解除

情報セキュリティの観点から、退職日翌日には確実にアクセスを遮断できるよう事前に準備しておくことが重要です。

退職後に提出する届出

社会保険(健康保険・厚生年金)の資格喪失届

提出先 管轄の年金事務所(または健康保険組合)
期限 退職日の翌日から5日以内
提出物 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
添付物 健康保険証(本人分+被扶養者分)

退職者に被扶養者(配偶者や子どもなど)がいる場合は、被扶養者分の保険証もあわせて返却が必要です。退職者が資格喪失後に国民健康保険に加入する際、「健康保険資格喪失証明書」が必要になるため、届出後に証明書を発行して退職者に送付しましょう。

雇用保険の資格喪失届・離職証明書

提出先 管轄のハローワーク
期限 退職日の翌日から10日以内
提出物 雇用保険被保険者資格喪失届、雇用保険被保険者離職証明書

離職証明書は、退職者が離職票の交付を希望する場合に作成します。ただし、59歳以上の退職者については、本人の希望にかかわらず離職証明書の作成が必要です。

離職証明書に記載する「離職理由」は、退職者の失業給付の受給日数や待機期間に直接影響します。「自己都合」「会社都合」「契約期間満了」など、事実に基づいて正確に記入してください。離職理由について退職者と認識の相違がある場合は、退職前に確認しておくことでトラブルを防げます。

住民税の特別徴収に関する届出

提出先 退職者の住所地の市区町村
届出 給与支払報告に係る給与所得者異動届出書
期限 退職日の翌月10日まで

住民税を給与から天引き(特別徴収)していた場合、退職に伴い届出が必要です。退職する月によって、残りの住民税の徴収方法が変わります。

  • 1月〜5月に退職:残額を最後の給与から一括徴収します(義務)
  • 6月〜12月に退職普通徴収(本人が自分で納付)に切り替えます。本人が希望すれば一括徴収も可能です

退職者に渡す書類一覧

書類名 内容 交付時期
離職票(離職票-1、離職票-2) 失業給付の申請に必要 ハローワークへの届出後、届き次第送付(届出後1〜2週間程度)
源泉徴収票 転職先での年末調整または確定申告に必要 退職後1ヶ月以内(所得税法で義務)
健康保険資格喪失証明書 国民健康保険への切り替え手続きに必要 資格喪失届の処理後
雇用保険被保険者証 次の職場での雇用保険手続きに必要 退職日以降
退職証明書 退職者が希望した場合に交付(労基法第22条) 請求があった場合
年金手帳 / 基礎年金番号通知書 会社が預かっていた場合は返却 退職日以降

離職票と源泉徴収票は特に退職者から問い合わせが多い書類です。交付予定日の目安を退職日に伝えておくと、後から「届かない」という連絡を減らせます。

チェックリストまとめ

以下のチェックリストを印刷してお使いください。

退職日まで

  • □ 退職届の受理・保管
  • □ 有給休暇の残日数確認・消化スケジュール調整
  • □ 引き継ぎスケジュールの策定・引き継ぎ書の作成依頼
  • □ 顧客・取引先への担当変更の連絡
  • □ 貸与品の回収リスト作成・回収
  • □ 健康保険証の回収手配(本人分+被扶養者分)
  • □ 社内アカウント・アクセス権限の停止準備

退職後5日以内

  • □ 社会保険(健康保険・厚生年金)資格喪失届の提出
  • □ 健康保険証の返却(年金事務所 or 健保組合へ)

退職後10日以内

  • □ 雇用保険被保険者資格喪失届の提出
  • □ 雇用保険被保険者離職証明書の提出(離職票の交付希望時・59歳以上は必須)

退職後〜1ヶ月以内

  • □ 住民税の給与所得者異動届出書の提出
  • □ 源泉徴収票の交付
  • □ 離職票の退職者への送付
  • □ 健康保険資格喪失証明書の退職者への送付
  • □ 雇用保険被保険者証の退職者への返却

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よくある質問

Q. 退職届と退職願の違いは?

A. 退職届は退職の意思を一方的に通知するもので、会社の承諾がなくても効力があります。退職願は退職を願い出るもので、会社が承諾して初めて退職が成立します。実務上はどちらも「退職届」として受理するケースが多く、大きなトラブルにならないよう書面で受理日を記録しておくことが重要です。

Q. 退職者が健康保険証を返してくれません。どうすればいい?

A. 資格喪失届は保険証が未回収でも提出できます。届出書に「回収不能」と記載し、保険証の記号・番号を記入して提出してください。退職者には引き続き返却を求め、郵送での返却を依頼するのが一般的です。

Q. 退職日と最終出勤日が違う場合、届出の期限はどちらが基準?

A. すべての届出の期限は「退職日(=資格喪失日の前日)」が基準です。有給消化のために最終出勤日より後に退職日が設定されている場合は、退職日を基準に届出のスケジュールを組んでください。

Q. 退職後に退職者から「離職票がまだ届かない」と連絡がありました。

A. ハローワークへの届出後、離職票が会社に届くまで1〜2週間程度かかります。届出が遅れている場合は速やかに提出しましょう。届出済みであれば、ハローワークに処理状況を確認できます。退職者には離職票の交付に時間がかかる旨を、退職日にあらかじめ伝えておくとスムーズです。

Q. 試用期間中の退職でも同じ手続きが必要?

A. はい。社会保険・雇用保険に加入している期間が1日でもあれば、資格喪失届の提出が必要です。試用期間中であっても手続きは正社員と同じです。

※ この記事は法令の一般的な解説であり、個別の労務相談については社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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