雇用保険の加入条件と手続き|パート・アルバイトも対象?【2026年版】
「新しく雇ったパートさんは雇用保険に入れる必要がある?」——中小企業の総務・人事担当者からよくある疑問です。雇用保険の加入条件は雇用形態ではなく「週の所定労働時間」と「雇用見込み期間」で決まります。この記事では、2026年時点の加入条件から届出の流れ、2028年に予定されている適用拡大まで、実務に必要な情報をまとめました。
この記事で分かること:
- 雇用保険の加入条件(2026年時点の最新基準)
- パート・アルバイトの加入判断の考え方
- 加入手続きの流れと届出先・期限
- 2028年10月からの適用拡大(週10時間以上)の先取り情報
雇用保険とは
雇用保険は、雇用保険法に基づく公的保険制度です。労働者が失業した場合の失業給付(基本手当)がよく知られていますが、それだけではありません。育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付など、雇用に関するさまざまな場面でセーフティネットとなる制度です。
労働者を1人でも雇用している事業所は、原則として雇用保険の適用事業所となります(農林水産業の一部を除く)。保険料は会社と従業員の双方で負担し、負担割合は業種によって異なります。
なお、失業時の給付は雇用保険の制度ですが、病気やケガで休職した場合の給付は健康保険の傷病手当金が該当します。制度が異なりますので混同しないようにしましょう。詳しくは「傷病手当金の手続きガイド」をご参照ください。
加入条件(2026年時点)
2026年3月時点の雇用保険の加入条件は、以下の2つをどちらも満たす場合です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1. 週の所定労働時間が20時間以上 | 雇用契約書に記載された所定労働時間で判断 |
| 2. 31日以上の雇用見込みがあること | 雇用契約の期間が31日以上、または更新の可能性があること |
この2条件を満たしていれば、正社員・契約社員・パート・アルバイトといった雇用形態に関係なく加入義務があります。
「週20時間以上」の判断基準
ここでいう「20時間」は所定労働時間であり、実際の残業時間は含みません。雇用契約書や労働条件通知書に記載された労働時間で判断します。
- 固定シフトの場合:契約書の所定労働時間がそのまま基準になる
- シフト制で週ごとに変動する場合:平均的な週の所定労働時間で判断する
- 契約上は週20時間未満だが、実態として恒常的に20時間以上働いている場合:実態に基づいて加入対象と判断される可能性がある
週の所定労働時間の正確な把握は、雇用保険の加入判断だけでなく給与計算にも関わります。勤怠データで労働時間を管理する重要性については「勤怠管理SaaS3選|中小企業向け比較」も参考にしてください。
「31日以上の雇用見込み」の判断基準
雇用契約の期間が31日以上であれば、この条件を満たします。日雇いや30日以内の短期契約であっても、契約の更新可能性がある場合は「31日以上の見込みあり」と判断されます。
実務上、「31日未満で雇い止めが確定している」ケースでなければ、ほとんどの場合この条件は満たされます。
パート・アルバイトは加入対象?
条件を満たせば、パート・アルバイトでも加入義務があります。
「パートだから雇用保険は不要」という認識は誤りです。雇用保険法上の加入条件は雇用形態ではなく、あくまで「週の所定労働時間」と「雇用見込み期間」で決まります。条件を満たす従業員を加入させなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象になり得ます。
なお、雇用保険に加入しているパート従業員は、有給休暇の付与対象にもなります。パートの有給付与日数については「有給休暇の付与日数とは?中小企業向けにわかりやすく解説」をご確認ください。
加入対象にならないケース
以下のケースでは、雇用保険の加入対象になりません。
- 週の所定労働時間が20時間未満の場合
- 昼間学生(大学・短大・専門学校等の昼間の学生アルバイト)は原則として対象外。ただし、夜間学生・通信制の学生は加入対象
- 雇用見込みが31日未満で、更新の可能性もない場合
一方、以下は「対象外」と誤解されがちですが、実際は加入対象です。
- 65歳以上で新たに雇用された場合:2017年1月の法改正により「高年齢被保険者」として加入対象
- 外国人労働者:在留資格に基づく就労であれば加入対象(外交・公用を除く)
複数の事業所で勤務している場合は、それぞれの事業所での所定労働時間で個別に判断します。原則として主たる事業所で1つだけ加入します。
2028年10月からの適用拡大(週10時間以上へ)
重要な法改正予定:2024年に成立した雇用保険法等の改正により、2028年10月から雇用保険の加入条件が「週20時間以上」から「週10時間以上」に拡大される予定です。
この改正が施行されると、これまで加入対象外だった短時間パート・アルバイトの多くが新たに雇用保険の対象になります。
中小企業への影響
- 対象従業員の増加:週10〜19時間勤務のパート・アルバイトが新たに加入対象に
- 保険料負担の増加:対象従業員分の事業主負担保険料が増える
- 手続き件数の増加:資格取得届・喪失届の対象者が増える
施行は2028年10月の予定ですが、今のうちに自社の従業員のうち週10〜19時間で勤務している人数を把握しておくと、準備がスムーズです。
雇用保険を含む入退社手続きの管理を効率化したい場合は「労務管理クラウド6選|中小企業向け機能・料金比較」も検討してみてください。
加入手続きの流れ
新規雇用時の手続き
| 届出 | 雇用保険被保険者資格取得届 |
| 提出先 | 管轄のハローワーク |
| 期限 | 雇い入れた日の属する月の翌月10日まで |
届出に必要な情報は、氏名、生年月日、マイナンバー、雇用形態、賃金、所定労働時間、雇用期間などです。届出が受理されると「雇用保険被保険者証」と「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」が交付されます。被保険者証は従業員本人に渡してください。
退職時の手続き
| 届出 | 雇用保険被保険者資格喪失届(+離職証明書) |
| 提出先 | 管轄のハローワーク |
| 期限 | 退職日の翌日から10日以内 |
退職者が離職票の交付を希望する場合は、離職証明書もあわせて作成・提出します。59歳以上の退職者については、本人の希望にかかわらず離職証明書の作成が必要です。
変更があった場合の手続き
- 氏名変更:雇用保険被保険者氏名変更届を提出
- 転勤(事業所間異動):雇用保険被保険者転勤届を提出(異動先のハローワークへ)
よくある質問
Q. 試用期間中でも雇用保険に加入する必要がありますか?
A. はい。試用期間であっても、加入条件(週20時間以上・31日以上の雇用見込み)を満たしていれば加入義務があります。試用期間は加入の免除事由にはなりません。
Q. ダブルワーク(副業)の場合、両方の事業所で加入する必要がありますか?
A. 原則として、主たる事業所(生計を維持するに必要な賃金を受ける事業所)で1つだけ加入します。両方の事業所で同時に加入することは原則としてありません。ただし、2028年10月の法改正以降は、複数事業所での加入に関する取り扱いが変更される可能性があります。
Q. 加入手続きを忘れていた場合、さかのぼって手続きできますか?
A. はい。最大2年間さかのぼって資格取得届を提出できます。ただし、さかのぼり期間分の保険料の納付が必要で、賃金台帳や出勤簿などの確認書類の提出を求められます。
Q. 65歳以上の従業員も加入する必要がありますか?
A. はい。2017年1月の法改正により、65歳以上の従業員も「高年齢被保険者」として雇用保険の加入対象になりました。加入条件は他の従業員と同じ(週20時間以上・31日以上の雇用見込み)です。保険料も通常どおり発生します。
Q. 雇用保険に加入しているかどうか、確認する方法は?
A. 以下の方法で確認できます。
- 給与明細を確認:「雇用保険料」の控除があれば加入している
- 雇用保険被保険者証を確認:入社時に交付されているはず
- ハローワークに問い合わせ:被保険者番号がわかれば、加入状況を確認できる
※ この記事は法令の一般的な解説であり、個別の労務相談については社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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