有給休暇の付与日数とは?中小企業向けにわかりやすく解説【2026年版】
「有給休暇は入社何ヶ月目から発生する?」「パートやアルバイトにも必要?」「管理はどうすればいい?」――中小企業の総務・人事担当者にとって、有給休暇の運用は意外とつまずきやすいポイントです。
有給休暇の付与日数は労働基準法で細かく定められており、正しく運用しないと罰則の対象になることもあります。この記事では、2026年3月時点の法令に基づいて、基本ルールから実務的な管理方法までをわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- 正社員・パートそれぞれの有給休暇付与日数(早見表付き)
- 年5日の取得義務の対象者と罰則
- 有給休暇の繰越ルールと時効
- 中小企業に適した有給管理の方法
有給休暇の基本ルール
年次有給休暇(以下、有給休暇)は、労働基準法第39条に基づき、一定の条件を満たした労働者に対して、賃金が支払われる休暇を与える制度です。
有給休暇が付与される条件は、次の2つです。
- 6ヶ月以上継続して勤務していること
- その期間の全労働日の8割以上に出勤していること
この2つの条件を満たせば、正社員・パート・アルバイトといった雇用形態を問わず、有給休暇を付与する義務が会社に生じます。「うちはパートだから有給はない」という運用は法律違反になりますので、注意が必要です。
正社員の付与日数(早見表)
フルタイムで働く正社員の場合、勤続年数に応じて以下の日数が付与されます。
| 勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
法定の付与日数の上限は年20日です。なお、これはあくまで法律が定める最低基準であり、会社が独自に上乗せして付与することは自由です。
パート・アルバイトの比例付与(早見表)
週の所定労働日数が4日以下、かつ週の所定労働時間が30時間未満のパート・アルバイトには、労働日数に応じた「比例付与」が適用されます。
週4日勤務の場合
| 勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
週3日勤務の場合
| 勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
週2日勤務の場合
| 勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
週1日勤務の場合
| 勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 付与日数 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
※ 上記の日数は労働基準法に基づく法定の最低基準です。最新情報は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
なお、パート・アルバイトであっても、週5日以上または週30時間以上勤務している場合は、正社員と同じ日数が付与されます。
年5日の取得義務(2019年4月~)
2019年4月の法改正により、年10日以上の有給休暇が付与された労働者に対しては、そのうち年5日を会社が時季を指定して確実に取得させることが義務づけられました。
対象は正社員だけではありません。パートやアルバイトであっても、年10日以上の有給休暇が付与されていれば対象になります。たとえば、週4日勤務で勤続3年6ヶ月以上のパート従業員は付与日数が10日になるため、この義務の対象です。
違反した場合の罰則は、対象となる労働者1人につき30万円以下の罰金です。従業員が複数いれば、その人数分の罰金が科される可能性があります。
実務上の対応方法
年5日の取得を確実に進めるための方法として、主に以下の2つがあります。
- 計画的付与制度:労使協定を締結し、会社が有給休暇の取得日をあらかじめ指定する方法です。お盆や年末年始の前後に設定するケースが多く見られます。ただし、労働者が自由に使える日数として5日は残す必要があります。
- 個別指定:取得が進んでいない従業員に対して、会社が個別に時季を指定して取得させる方法です。年度の後半に未取得者をリストアップし、本人の希望を聞いたうえで指定するのが一般的です。
有給休暇の繰越と時効
有給休暇の有効期限は、付与日から2年間です(労働基準法第115条)。使い切れなかった分は翌年度に繰り越すことができます。
これにより、理論上の最大保有日数は「前年からの繰越20日 + 新規付与20日 = 最大40日」となります。
ただし、実務上は繰越の管理が煩雑になりがちです。「誰が何日繰り越しているのか」「時効で消滅するのはいつか」といった管理を正確に行うには、適切な仕組みづくりが欠かせません。
中小企業の有給管理方法
有給休暇の管理方法は、大きく分けて「Excelでの手動管理」と「勤怠管理SaaSの活用」の2つがあります。自社の従業員数や業務体制に合った方法を選びましょう。
Excelで管理する場合
メリット
- 追加コストがかからない
- すぐに始められる
- 自社の運用に合わせて自由にカスタマイズできる
デメリット
- 従業員数が増えると管理が煩雑になる
- 入力ミスや計算ミスのリスクがある
- 法改正があった場合、手動で対応する必要がある
なお、2019年4月以降、会社には「年次有給休暇管理簿」の作成と3年間の保存が義務づけられています。Excelで管理する場合でも、この要件を満たす記録を残す必要があります。
勤怠管理SaaSで管理する場合
メリット
- 付与日数や残日数が自動で計算される
- 取得状況をリアルタイムで把握できる
- 法改正への対応がシステム側で行われる
- 年次有給休暇管理簿の出力に対応しているサービスが多い
従業員が10名を超えてくると、Excelでの管理は負担が大きくなる傾向があります。勤怠管理SaaSの導入を検討する目安のひとつといえます。
具体的なサービスの機能や料金については、「勤怠管理SaaS3選|中小企業向け比較【2026年版】」で詳しく比較しています。
また、有給管理だけでなく労務管理全般のクラウド化を検討されている場合は、「労務管理クラウド6選|中小企業向け機能・料金比較【2026年版】」もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 入社して6ヶ月未満の社員には有給を与えなくてよいですか?
法律上は、入社から6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した時点で付与義務が発生します。6ヶ月未満の段階では法定の付与義務はありません。ただし、会社の就業規則で入社時に前倒しで付与する「入社時付与」を定めることは可能です。
Q. 有給休暇の買い取りは認められますか?
原則として、有給休暇の買い取りは認められていません。有給休暇は「実際に休む」ことが目的の制度であるためです。ただし、退職時に消化しきれない分や、法定を超えて会社が独自に付与した分については、買い取りが認められるケースがあります。
Q. 退職時に有給をまとめて消化されたらどうすればよいですか?
有給休暇の取得は労働者の権利であり、退職前にまとめて取得することも法律上は認められています。会社が一方的に拒否することはできません。業務の引き継ぎに支障が出る場合は、退職日の調整や引き継ぎスケジュールについて、早めに本人と話し合うことが大切です。
Q. 有給取得の理由を聞いてもよいですか?
有給休暇の取得に理由は不要です。労働者は理由を申告する義務がなく、会社が理由によって取得を拒否することもできません。管理上、申請書に理由欄を設けている会社もありますが、「私用のため」などの記載で問題ありません。
Q. 半日単位・時間単位の有給は義務ですか?
半日単位や時間単位の有給休暇は、法律上の付与義務ではありません。ただし、時間単位の有給休暇については、労使協定を締結すれば年5日の範囲内で導入できます。柔軟な働き方を支援する手段として、導入を検討する企業も増えています。
Q. 年5日取得義務の「年」はいつからいつまでですか?
年5日の取得義務における「年」とは、有給休暇が付与された日(基準日)から1年間を指します。たとえば、4月1日に付与された場合は、翌年3月31日までの1年間が対象期間です。会社の事業年度や暦年(1月~12月)とは異なる場合がありますので、従業員ごとの基準日を正確に把握しておく必要があります。
※ この記事は2026年3月時点の法令に基づく一般的な解説です。個別の労務相談については、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
※ 当サイトの情報は公開情報に基づいて作成しています。正確性には万全を期しておりますが、最新情報は厚生労働省の公式サイトをご確認ください。


